脳神経外科学分野の准教授の山田先生らの論文がBrain Communication誌に掲載されました。
プレスリリース:https://www.nagoya-cu.ac.jp/press-news/202503281000/
Yamada S, Yuzawa T, Ito H, Iseki C, Kondo T, Yamanaka T, Tanikawa M, Otani T, Ii S, Ohta Y, Watanabe Y, Wada S, Oshima M, Mase M.
Regional brain volume changes in Hakim’s disease versus Alzheimer’s and mild cognitive impairment
Brain Communications. 10.1093/braincomms/fcaf122 (2025)
DOI: 10.1093/braincomms/fcaf122
https://academic.oup.com/braincomms/article/7/2/fcaf122/8093450
アルツハイマー病患者 256 人、MCI 患者 163 人、ハキム病患者 77 人(うち 25 人はアルツハイマー病を合併)、20 代から 90 代までの健常ボランティア 474 名(うち、50 歳以上の健常者 400 名)の合計 970 人の 3D T1 強調 MRI 画像とした。アルツハイマー病は従来からの報告にあるとおり、海馬と側頭葉の著しい縮小が認められた。一方、MCI は認知症の前段階と言われる状態だが、アルツハイマー病で観察されるような海馬や側頭葉の縮小は認められなかった。ハキム病では、縁上回と呼ばれる頭頂葉の一部が最も縮小しており、脳室とシルビウス裂の拡大による脳の圧縮変形が最も強い部位と考えられた。ハキム病は、アルツハイマー病を併存しやすいことが知られているが、アルツハイマー病の併存例では海馬や側頭葉の縮小はさほど認めず、ハキム病単独よりも縁上回の著しい縮小が観察された。
本研究は、名古屋市立大学、滋賀医科大学、東北大学、山形大学、東京大学、大阪大学、東京科学大学、洛和会音羽病院、富士フイルム株式会社の共同研究による成果である。本研究グループは、ヒトの脳血液循環と脳脊髄液の動きをコンピューター上で再現して、ヒトの脳の自然老化現象をシミュレーションし、ハキム病、アルツハイマー病などの認知症、脳卒中などの脳環境代謝に関連する病態を解明すること(脳循環代謝数理モデルの確立)を目指す医工連携、産学連携の共同研究である。
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