神経発達・再生医学分野研究員の小嶋先生らの論文がStem Cell Reports誌に掲載されました。

Kojima D, Sawada M, Ishimaru T, Ito N, Tateyama S, Adachi K, Kawaguchi H, Satake N, Herranz-Pérez V, García-Verdugo JM, Hirose Y, Ohno N, Kaneko N, Sawamoto K.
Cytoarchitecture of neurogenic niche and neuroblast clusters in the postnatal microminipig brain
Stem Cell Reports. 2026 May 12;21(5):102893.
DOI:10.1016/j.stemcr.2026.102893.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2213671126001049?via%3Dihub

脳室下帯は出生後もニューロン新生が続く脳領域として、その細胞構築がげっ歯類でよく研究されてきました。一方で、ヒトを含む皺脳動物では脳室下帯が齧歯類よりも拡大することが知られていましたが、その詳細な細胞構築は解明されていませんでした。本研究では、ヒト脳と同様の皺構造を有し、かつブタの中で最も小型で扱いやすい「マイクロミニブタ」を用いて、生後の脳室下帯の超微細構造を電子顕微鏡により解析しました。

 透過型電子顕微鏡解析の結果、新生児期におけるマイクロミニブタの脳室下帯は、ヒトと同様に、第I層および皺脳動物特有のII/III層で構成されることが明らかになりました。また、神経幹細胞から産生された未熟な神経芽細胞(ニューロブラスト)がクラスタを形成し、血管や放射状グリアと密接に接触することが分かりました。さらに、連続ブロック表面走査型電子顕微鏡による三次元解析から、第II/III層のニューロブラストは、細胞体から1本の先導突起を伸ばした典型的な移動形態を示し、鎖状のクラスタを形成しながら血管に沿って移動する様子が明らかになりました。 これらの結果は、マイクロミニブタ脳においても出生後にニューロブラストおよびそれを支える微小環境が維持されていることを示唆しています。本研究は、皺脳動物におけるニューロン新生機構の理解を深めるとともに、脳傷害後の神経再生・修復研究の基盤となる知見を提供するものです。